
2026年9月28日 WUSV総会 上程案 承認前
展覧会規程・繁殖許可規程・繁殖規程
WUSV-Zuchtprogramm für den Deutschen Schäferhund
ジャーマン・シェパード・ドッグの繁殖について、WUSVが世界共通の要件を定めます。健康、性格・気質、血統確認、作業能力、外貌の5つを品質基準とし、繁殖許可を Original・Advanced・Premium の3段階に整理するものです。
本ページは、2026年9月28日のWUSV総会に上程される案の全文を日本語でお伝えするものです。承認前の段階であり、審議の結果によって内容が変わる可能性があります。
ジャーマン・シェパード・ドッグの計画的な繁殖は、1899年にドイツ・シェパード犬協会(SV)e.V.が設立されたことにより始まりました。
ジャーマン・シェパード・ドッグの身体的特徴ならびに性格・気質上の特性は、原産国の創設協会によって定められ、FCIに犬種標準第166号として登録されている犬種標準に規定されています。
WUSVおよびその加盟協会の目的は、協会創設者 Max von Stephanitz の理念に基づき、ジャーマン・シェパード・ドッグを健康で、環境適応性が高く、高い作業能力を備えた使役犬として維持・発展させることです。
この目的を達成するため、WUSV総会は「Stockhaar」と「Langstockhaar mit Unterwolle」の2つの毛種について、以下のジャーマン・シェパード・ドッグ繁殖プログラムを制定します。
これらの品質基準の評価は、認証された基準に従って行われ、各個体を明確に識別できることを前提とします。科学的研究に加え、繁殖価分析および繁殖価推定も、繁殖規定の更新に反映されます。
加盟協会は、それぞれの判断および地域事情に応じて、より高い繁殖要件を定めることができます。ただし、ドイツにおける要件を超えてはなりません。それらの要件は「犬種の利益のため」という原則に従うべきであり、繁殖を妨げるものとなってはなりません。
2024年9月9日のWUSV総会から、WUSV繁殖プログラムの改訂が作業部会に委託されました。目的は、すべてのWUSV加盟国およびその会員が満たすことのできる、ジャーマン・シェパード・ドッグ繁殖のための要件基準を定めることです。各WUSV加盟国は、一般的に求められる最低基準を超えて、その国における繁殖について独自に追加要件を定めることができます。
各国の加盟協会は、「Stockhaar」および「Langstockhaar mit Unterwolle」の繁殖展覧会を開催します。犬の評価は毛種別に分け、クラスおよび繁殖グループごとに行います。
各WUSV加盟国では、「Vorzüglich Select(VA)」を授与する国内Sieger展覧会を、年間1回のみ開催できます。一つの国に複数のWUSV加盟協会が存在する場合も同様です。その場合、関係する協会間で合意を形成し、その結果をWUSV事務局へ通知しなければなりません。
COAPA Sieger展覧会、Continental Sieger展覧会、Nordic Sieger展覧会などの国際Sieger展覧会は、WUSVの承認を得た場合に開催することができます。
現地の条件が許す場合、WUSV世界選手権に併設して「Stephanitz Memorial」と呼ばれる繁殖展覧会を開催することができます。この展覧会ではVA評価を授与することはできません。開催するかどうかは、WUSV理事会が決定します。
繁殖展覧会は一般公開されなければなりません。
すべての繁殖展覧会において、出陳犬の気質(環境適応性)を評価しなければなりません。適切な歩様審査を実施できる環境を確保しなければなりません。
銃声に対する反応試験は、12か月齢を超える犬のみを対象とし、適切な距離から6mm口径の空包を使用して実施します。銃声試験が公的に禁止されている場合は、必ずスタート板(Startbrett)を使用します。この場合も適切な距離を確保しなければなりません。
繁殖展覧会には、展覧会カタログ(印刷版またはオンライン版)を作成することが義務付けられ、審査員に提供することができます。カタログには、出陳するすべての犬について、以下を記載します。
公式カタログに記載されている犬のみ、正式な評価を受けることができます。
以下の条件を満たす犬のみ参加が認められます。
牝犬について:妊娠中または授乳中の牝犬の出陳については、各WUSV加盟協会の国内規程で定めます。
審査員を務めることができるのは、各国のFCI加盟団体および/またはWUSV加盟協会が認定した審査員に限ります。
繁殖展覧会に出陳する犬は、「Stockhaar」と「Langstockhaar mit Unterwolle」の毛種別に、それぞれ各クラスへ区分します。複数日にわたる展覧会の場合、クラス区分の基準日は大会初日とします。
| Jugendklasse | 満12か月以上18か月未満 |
|---|---|
| Junghundklasse | 満18か月以上24か月未満 |
| Offene Klasse | 満2歳以上で、訓練資格を有しない犬 |
| Gebrauchshundklasse | 満2歳以上で、Wesensbeurteilungに合格し、繁殖許可となるHD/ED判定と、認定された訓練資格(最低BH-VT)を有する犬 |
| Herdengebrauchshundklasse | 24か月を超える犬は、SV牧羊犬規程に基づくHGH資格を証明しなければならない |
| Veteranenklasse | 6歳を超える犬。評価は付与しないが、順位付けおよび席次決定を行うことができる |
6.6 Nachwuchsklasse
繁殖促進を目的として、9か月以上12か月未満/6か月以上9か月未満/3または4か月以上6か月未満の犬について、繁殖評価を付与しない幼犬展覧会を開催することができます。3段階すべてを採用するかどうかは、各加盟協会が決定します。
6.8 繁殖グループ
繁殖グループの犬は、すべて同一の毛種でなければなりません。グループ全頭を一つのまとまったグループとして担当審査員に提示します。繁殖者は、複数の繁殖グループを出陳することができます。繁殖グループは、同一犬舎から出陳された最低3頭、最高4頭で構成します。各犬は、その展覧会ですでに審査を受け、最低繁殖評価「Gut」を取得していなければなりません。
6.9 子孫グループ
子孫グループを出陳することができます。最低5頭の出陳犬で構成しなければなりません。
Nachwuchsklasseでは評価を付与せず、現在の発育状態に応じて順位付けを行います。繁殖展覧会では、以下の評価を付与できます。
Gebrauchshundklasseにおいて、厳格な基準を適用した上で、次を満たす犬。
第1前臼歯(P1)の重複は認められます。
Jugendklasse、Junghundklasse、Offene Klasseにおける最高評価。犬種標準を完全に満たす犬に与えられます。
Gebrauchshundklasseでは、「Vorzüglich」の条件を満たしているものの、解剖学的に軽微な制限がある、または訓練資格が不足している犬。また、解剖学的には問題がなく、標準サイズからの超過または不足が1cm以内の犬にも付与できます。
P1が1本欠如、または切歯1本の欠如は認められます。
犬種標準を満たしているが、明確な解剖学的制限が認められる犬。以下の歯の欠如が認められます。
大会当日に銃声に敏感な反応を示す犬、自然な態度に影響が認められる犬、または全体的な状態・解剖学的状態から上位評価を与えられない犬。
銃声を怖がる犬、気質・自然な態度に問題がある犬、または繁殖除外となる欠点を有する犬。「Ungenügend」の評価は、子孫登録禁止措置を伴います。
立姿でのプレゼンテーションでは、可能な限り大きな補助を行わず、自然な立姿で審査員に提示します。すべてのイベントにおいて、電気刺激器具および強制力の強い器具は禁止します。添付資料に定められた首輪のみ使用できます。
すべての国際大会および国内大会において、大会要項に特別な記載がなくてもドーピング検査を実施することができます。この規定は、ドイツ連邦共和国およびEUの動物保護規定、ならびにFCIのドーピング規定を基礎とします。ドーピング違反が認められた犬に科された処分は、すべてのWUSV加盟国で有効とします。
本規程I.1.2に従い、原則として年1回、国内Sieger展覧会を開催します。審査員を務めることができるのは、各国WUSV加盟協会が認定した審査員のみとします。
「Vorzüglich Select(VA)」は、国内または国際・地域Sieger展覧会のみで付与することができます。VAを付与するためには、「Vorzüglich」の要件に加え、有効なKörungを有し、TSB評価「ausgeprägt」を証明しなければなりません。さらに以下を満たさなければなりません。
スポーツとしての防衛作業が法律または上位機関の規則によって禁止されているWUSV加盟国では、VA評価のために犬の作業能力を確認する犬学的に妥当な代替方法を国内団体が採用できます。ただし、その方法は事前にWUSV理事会へ提出し、承認を得なければなりません。
以下の条件は、すべての3段階に適用します。
| 1.2 血統書 | WUSV/FCIが認める血統書を有するジャーマン・シェパード・ドッグのみ繁殖許可の対象となる。繁殖許可年齢は各国団体が独自の責任で定める。WUSVは牝犬20か月、牡犬24か月を推奨する |
|---|---|
| 1.3 HD | WUSVが認めるHD判定を証明すること。FCI:A、B、C/WUSV:normal、fast normal、noch zugelassen |
| 1.4 ED | WUSVが認めるED判定を証明すること。FCI:0または1/WUSV:normal〜noch zugelassen |
| 1.5 展覧会評価 | 各国FCI/WUSV加盟協会が認めた審査員による、最低繁殖評価「Gut」を証明すること |
| 1.6 DNA | 血統書への「DNA geprüft」の記載により、DNA検査を証明すること(SVまたは国内) |
| 1.7 Wesensbeurteilung | Wesensbeurteilungへの参加を証明すること |
WUSVでは、以下の3段階モデルを採用します。
作業部会提案:Standard または Classic
Originalの条件に加えて
Advancedの条件に加えて
Original の犬がその後AdvancedまたはPremiumの条件を満たした場合、上位カテゴリーへの昇格を申請できます。Advanced の犬がその後Premiumの条件を満たした場合、Körungを受けてPremiumへ昇格できます。昇格しても子孫について新しい血統書を発行することはありませんが、カテゴリーの昇格を血統書に記載します。
スポーツとしての防衛作業が法律または上位機関の規定によって禁止されているWUSV加盟国では、Körung認定のため、犬の作業能力を確認する犬学的に妥当な方法を国内団体が採用できます。その確認方法は、事前にWUSV理事会へ提出し承認を得なければなりません。
以下の欠点を持つ犬は繁殖に使用できません。
犬の表現型の発達に影響を及ぼす可能性があり、繁殖使用上重要となる処置を犬に行った場合は、各国団体へ報告しなければなりません。繁殖責任者が個別に、その犬を引き続き繁殖に使用できるかどうか判断します。
上記の犬は繁殖価値が著しく制限されるため、繁殖に使用してはなりません。これらの犬から生まれた子孫は、血統登録簿または付属登録簿に登録することができません。繁殖不適格の決定は、判明後ただちに犬の所有者へ通知します。
繁殖許可を取得した後に、3.1に定める欠点が発生または判明した場合、各国団体の理事会は必要な確認措置を開始します。各国団体の繁殖委員会は特に、当該犬の提示、その子孫の提示、必要な獣医学的検査を命じる権限を有し、必要に応じて繁殖許可を取り消すことができます。
3.1および3.2に基づく決定を行う前に、犬の所有者に意見を述べる機会を与えなければなりません。決定は理由を付して書留郵便で犬の所有者に通知し、原血統書に記載するとともに公表します。
各国団体は、本規程に基づく繁殖許可を相互に承認・受け入れることができます。
繁殖許可を有しない犬同士の交配は、WUSVでは認められません。
本規程は、動物保護およびその時点で有効なSV繁殖規程を考慮し、ジャーマン・シェパード・ドッグの繁殖要件を定めます。
「Stockhaar」と「Langstockhaar mit Unterwolle」は、それぞれ独立した繁殖母集団を形成します。両者を相互に交配してはなりません。
WUSV加盟協会は、次の責任を負います。
一部の国では、これらの業務を国内FCI上部団体が担当します。
血統登録簿は犬の血統を記録します。WUSVの管理下で繁殖され、連続する少なくとも4世代の祖先がWUSV認定血統登録簿に完全に記録されている犬のみ登録できます。
さらに、FCIその他の認定血統登録簿の犬も、少なくとも3世代の祖先についてHD/ED健康証明が血統書上で完全に記録されていれば登録できます。ただし、祖先の一頭以上に子孫登録禁止措置または繁殖除外判定が登録されている場合、承認することはできません。
加盟協会は付属登録簿を設けなければなりません。血統書を持たない犬、またはWUSV/FCIが認めない血統書を持つ犬について、ジャーマン・シェパード・ドッグの認定繁殖審査員による表現型審査に合格した場合、付属登録簿へ登録することができます。
表現型審査は、最低12か月齢であり、マイクロチップまたは耳番号で個体識別可能である場合にのみ実施できます。
すでに付属登録簿に登録された犬から生まれた子孫も登録します。ただし、Originalの繁殖許可を有する場合のみとします。連続3世代のデータが完全に付属登録簿に記録された場合、第4世代から通常の血統登録簿へ移行します。
ジャーマン・シェパード・ドッグの計画的繁殖の目的は、次のとおりです。
純粋繁殖とは、同一犬種の動物同士を交配することです。これにより、家系繁殖、血縁繁殖または近親繁殖を通じて遺伝的系統が利用されることになります。
一親等の血縁関係にある犬同士(親×子、全きょうだい同士)の交配は禁止します。
近親繁殖とは、父方および母方の双方に同一祖先が少なくとも1回ずつ存在する、近い血縁関係に基づく繁殖です。血縁関係の対象は最初の5世代の祖先に限定します。3-3より近い近親繁殖は、きょうだい関係を含め認められません。
可能な限り幅広い血統基盤を維持するため、必要に応じて加盟協会が牡犬の交配回数を制限することを推奨します。
特定の犬について繁殖推奨を行う場合は、信頼できる確実な情報が存在する場合に限ります。
代理母による育成およびその確認に関する要件は、各加盟協会が定めます。
一胎の繁殖者とは、交配時点における母犬の所有者または賃借人です。妊娠中の牝犬を売却する場合、繁殖者としての権利を譲渡することもできます。
a)繁殖施設および繁殖許可
申請者が成年であり専門知識を有すること、繁殖施設の適性が確認されていること、国際犬舎名(FCI)が保護登録されていることが条件です。条件の確認は加盟協会の責任で行います。
b)繁殖目的での牝犬の賃借
条件は加盟協会が定めます。
c)出産届
繁殖者は、生まれたすべての一胎/子犬を担当加盟協会へ届け出なければなりません。加盟協会から委任された者が、一胎、母犬、子犬の育成環境、繁殖施設全体の状況を確認できるようにしなければなりません。
d)個体識別
すべての子犬は譲渡前に、マイクロチップまたは耳番号による個体識別を行わなければなりません。
e)子犬のワクチン接種
譲渡前に獣医師による予防接種を受けなければなりません。マイクロチップ番号をワクチン証明書に記載します。
f)記録
繁殖者は、自らの繁殖施設に関するすべての繁殖関連データを記録する義務を負います。
種牡犬の所有者は、実施したすべての交配を速やかに担当加盟協会へ届け出て、適切な記録を保存しなければなりません。
牝犬は、24か月間に3胎を超えて育ててはなりません。ただし、国内法令が一胎の頭数や代理母育成などについて、より少ない回数を定めている場合はその規定に従います。基準日は出産日とします。牝犬は一回の発情期間中に異なる複数の牡犬と交配してはなりません。
牡犬の繁殖使用頻度については、それぞれの加盟協会が定めます。同一牡犬と同一牝犬との28日以内の交配は1回の交配として数えます。
品質管理を目的とするX線撮影については、各加盟協会が独自の責任で定めます。
股関節形成不全とは、関節窩および大腿骨頭部分に生じる股関節の病的変化です。症状の程度は、軽度から重度まで連続的に存在します。
検査方法は、SVの「HD/ED検査実施規定」に定められています。SVの指針に従っている場合、各国の獣医師による診断も認められます。
肘関節形成不全とは、さまざまな基礎疾患を原因として生じ、肘関節に関節症を形成する可能性のある病的変化です。症状の程度は軽度から重度まで連続的に存在します。
検査方法は、SVの「HD/ED検査実施規定」に定められています。SVの指針に従っている場合、各国の獣医師による診断も認められます。
原則として、本規程はSVの各規程を基礎とします。本規程で明確にされていない事項、または解釈上の意見の相違が生じた場合には、SVの規程を補足的に適用します。
本規程に対する違反行為については、各加盟協会が処分を行わなければなりません。その処分は、すべてのWUSV加盟協会に対して拘束力を有します。
本規程は、2026年9月28日のWUSV総会において承認され、2027年1月1日から施行されます。正当な理由がある例外的な場合、加盟協会はWUSV理事会に申請し、2027年12月31日までの猶予期間を求めることができます。
本規程の施行前まで展覧会または繁殖への使用が認められていた犬については、既得権が保障され、引き続き展覧会への出陳および/または繁殖への使用が認められます。
正本はWUSV発行の原文です。本ページの日本語はSVJによる訳であり、解釈に相違が生じた場合は原文によります。
2026年9月28日のWUSV総会には、大日方理事長と益田事務局長が出席します。可決が確認され次第、今後のSVJ/JPDSの対応を発表いたします。
あわせてSVJでは、WUSV新規程に完全対応するアプリの運用を準備しています。繁殖許可の3段階、HD/ED、DNA、性格テスト、展覧会評価、選定といった要件を、会員ご自身がスマートフォンからいつでも確認できる形にするものです。詳細は総会後にお知らせします。
現在、日本におけるWUSV加盟団体はSVJのみです。この点については、2026年3月17日付でWUSVからJPDSに対して正式に確認されています。